ひずみゲージによる測定とは?
ひずみゲージによる測定は”100万分の1”の世界
ひずみゲージは長さの物理量を”100万分の1”の変化レベルで測定可能と述べましたが、一般の長さ測定においては、例えば、100mの長さのものを0.1mm の正確さで測ることは非常に困難です。 しかし、ひずみゲージでは”0.3~5mm”の長さの抵抗線が外力を受けることにより、ΔL/L∝ΔR/R から、長さに比例した抵抗変化ΔRを電気的なホイートストンブリッジを介し”100万分の1”の世界を捉えることが可能になります。ひずみゲージによる測定の目的
ひずみゲージは局部的な長さ変化ΔLを検出しているが、実際にはこの変形量から導き出される物理量である応力、外力、圧力等に置きかえて評価することが一般的です。 また、一般に市販されているひずみゲージは自己温度補償ゲージであることから、未知の線膨張係数の測定への応用も考えられます。知っておきたいひずみゲージに関連した用語および式
- ひずみの定義:ε=ΔL/L ・ゲージ率:ΔR/R=K*ε
- 垂直応力とひずみの関係:σ=E*ε
- 剪断応力と剪断ひずみの関係:τ=G*γ
- 垂直応力の計算式:σ=P/A
- はりの曲げによる表面応力の計算式:σ=M/Z=6M/bh^2 (Z:断面係数)
- 丸棒のねじりによる剪断応力の計算式:τ=T/Zp= (Zp:極断面係数)
- ・中軸断面(Zp):π*d^3/16
- ・中空断面(Zp):π*(d2^4-d1^4)/16*d2)
- 縦弾性係数/Eと横弾性係数/G の関係:G=E/2(1+ν)
- ゲージ率(gage factor)/K:ひずみと抵抗変化の間に直線的な関係がある時の比例定数
- ポアソン比/ν:垂直応力”σ”による縦ひずみ”ε”と、それと同時に生じる横ひずみ”εb”の比で材料定数
- 垂直応力(stress)/σ:単位面積あたりの内力
- 弾性限度(elastic limit)/降伏点(yield point):”σ”と”ε”が直線的な関係にある時の最大応力
- 縦弾性係数(modulus of elasticity)/E:σとεが直線的な関係にある時の比例定数
- 横弾性係数(modulus of transverse elasticity)/G:τとγが直線的な関係にある時の比例定数
自己温度補償ゲージ(self-temperature compensated gage)
抵抗体であるゲージが1℃ 当たり抵抗値の相対的変化した場合、 ΔR/R=α+K(βs-βg) で表されることから、 0=α+K(βs-βg) の関係式が成立すれば温度による影響がないことになる。 ここで、ゲージ抵抗材料/アドバンス(Cu54,Ni45,Mn1)の抵抗温度係数/”α”は熱処理によりコントロールすることが出来ることから被測定材料の線膨張係数にマッチした「見かけひずみ」の少ないひずみゲージを製作することが可能になります。尚、一般に市販されているひずみゲージは自己温度補償ゲージ(適用母材:鉄、ステンレス、アルミ)が主流です。 α :ゲージ抵抗材料の抵抗温度係数 K:ゲージ率 βs:被測定材料の線膨張係数 βg:ゲージ抵抗材料の線膨張係数ひずみゲージの温度特性/熱出力(サンプルゲージ:N11-MA-5-120-11)

ひずみゲージの温度特性/ゲージ率変化(サンプルゲージ:N11-MA-5-120-11)

応力・ひずみ曲線

ブリッジの一辺に並列抵抗挿入による簡単な等価ひずみ発生法

引張り及び圧縮応力の計測<1ゲージ法>

引張り及び圧縮応力の計測<2ゲージ法(A)>

引張り及び圧縮応力の計測<2ゲージ法(B)>

曲げ応力の計測<1ゲージ法>

曲げ応力の計測<2ゲージ法 >

剪断応力の計測

ねじり応力の計測
